海外のがん治療はどうなっているのか?①

統合腫瘍協会国際会議の報告レポート(前半)

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こんにちは
東栄新薬株式会社の元井章智です

自己紹介はこちら

日本では
一般的に病院で受けるがん治療というと
3大療法(手術、抗がん剤、放射線療法)ですよね

それでは、
海外ではがん治療はどのようにして
行われているのでしょうか?

実はアメリカでは
がんの3大療法(手術、抗がん剤、放射線療法)だけでなく
その他の医療(補完代替医療)を併せて行う
【統合医療】を国レベルで推進しています。

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私自身、今回で2回目となりますが
アメリカのがん統合医療に関する協会
統合腫瘍協会国際会議(SIO)に参加してきました。

【第11回統合腫瘍学会国際会議(SIO)】
2014年10月26日~28日
アメリカ テキサス州ヒューストンにて

これから4回に分けて
学会で得られた最先端の情報をお届けします

第1回 乳がんの統合医療ガイドライン
第2回 実際にどのような治療が行われているか?
第3回 最先端施設 MDアンダーソン①概要
第4回 最先端施設 MDアンダーソン②訪問レポート

まずは、今学会で最も注目されていた
【乳がんの統合医療ガイドライン】をご紹介します

第1回 乳がんの統合医療ガイドライン

【乳がんの統合医療ガイドライン】は
学会2日目のハイライトとして
SIO会長ヘーサー・グリーリー博士(コロンビア大学医学部)
ロレンツォ・コーエン博士(MDアンダーソンがんセンター)
といった先生方が発表されていました。

発表されたガイドラインは

乳がんを直接治療する
手術、放射線、抗がん剤などの西洋医学の他に

乳がんによる
ウツや不安などの精神的な症状や
抗がん剤による吐き気、痛み、QOL(生活の質)の低下
などを抑えるために

補完代替医療をどのようにして取り入れるかを紹介したもので
西洋医学と補完代替医療を一緒に行う
【統合医療】という考え方をもとにしたものです。

対象となった補完代替医療は
食事療法と運動療法に加え
瞑想(めいそう)、ヨガ、その他のストレス管理
鍼、マッサージや、ハーブ・サプリメントです。

【推奨される補完代替療法】

ランクA:強く推奨する

行動療法(瞑想、音楽療法、ヨガ)
ウツや不安、単純なストレスの軽減に対して
科学的な根拠があるとして強く推奨する。

ヨガについてはみなさんご存知だと思いますが
瞑想と音楽療法についてはあまり聞き慣れないと思いますので
簡単に説明します↓

○瞑想

瞑想は不安やマイナス思考を和らげ
睡眠の質や記憶を改善し、精神的な意識を向上させます。

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○音楽療法

音楽療法の効果は自己表現を豊かにし
ストレスの軽減、認識やモチベーション、コミュニケーション
社交的なスキルを向上させます。

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ランクB:推奨する

【オンコロジーマッサージ】
(がん患者さんに対するマッサージ)

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がん治療によって疲労感を感じるときに
気分を改善するとしておススメする。
※患部を直接マッサージするわけではありません

ランクC:個々の患者の状況によって行う

【鍼】
吐き気、疲労、不安、痛み、QOL(生活の質)の改善に
有望な証拠がある

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【ハーブ・サプリメント】

いくつかのハーブやサプリメントは
短期的に効果といった面では限られたデータしかなく
長期的な安全性や副作用の発現に関しては十分なデータがない

アメリカ人参が疲労に、生姜が吐き気になど
自然由来の製品はそれぞれ異なる症状にランクCと評価されるが
さらに研究が必要である。

(ハーブ・サプリメント一般として)
副作用を引き起こす可能性もあり、
標準の医薬品と相互作用を引き起こす可能性もある。

多くの患者が生理活性作用のある
ハーブ・サプリメントを摂るようになっており
医療専門家によるアドバイスの必要性がある。

【ガイドラインに関して私が感じたこと】

まずはじめに【瞑想】について

いままで瞑想のというと
どこかアジアの偉いお坊さんが
修行の一環としてどこかにこもって行っているといった
イメージでしたが

合理的でデータを重視する印象の強い
アメリカの学会でうつや不安、ストレスの軽減に
【瞑想】が【強くおすすめする】とされているのに
正直、驚きを感じました。

さらに学会でも休憩時間などに
みんなで瞑想を行いました。
(正直、どうすればいいのか解らないので
半信半疑のまま、見よう見まねでやりました)

他には、
行動療法(瞑想やヨガなど)や
鍼、マッサージなどに対する評価はされていましたが

実際に多くのがん患者さんが取り入れている
健康食品・サプリメントなどに関しては
あまり積極的ではない印象でした。

他の方も同じように感じたようで
ガイドライン発表後の質問時間に、
学会に参加していた乳がんの患者さんから

「どのサプリメントがいいのか具体的に教えてほしい」
といった質問が出ましたが、
残念ながら具体的な回答はありませんでした。

その患者さんに休憩時間中に以下のようなお話を伺いました。

「ビタミンDなどは有効性に関して明らかなデータがある
そのようなサプリメントだけでも推奨して欲しい。
実際にがん患者が、補完代替医療として取り入れやすい
ハーブ・サプリメントに関しては
もっと踏み込んだ内容を発表して欲しかった」

なぜ、踏み込んだ発表がなかったかというと
その背景としては、以下が考えられます。

①そもそもキングアガリクスのように
安全性、有用性に関する豊富なデータを持っているものは
サプリメント先進国のアメリカでも非常に少ない

②サプリメント先進国のアメリカでも
商品による品質のバラつきがあるため
単純に○○(素材)が△△に良いとは推奨できない

そのため
実際の医療現場などではサプリメントが
利用されているにも関わらず
学会としては特定のサプリメントを
積極的には推奨できなかったと考えられます。

また
【ガイドラインをどのように活用するか】
に関して以下のようなことが勧められていました

①統合医療の選択に関しては医師と話し合うこと

医師と患者は
費用、副作用の可能性と各療法の長所と短所を評価し
どのような治療を選択するかを
医師と患者で決めるべきである。

②病気のステージ、全体的な治療の目標
そしてそれぞれの治療に対する影響を
考慮しなければならない

③統合医療は個々の患者に
それぞれの治療が協調して行われることが望ましく
医療従事者間で情報交換を緊密に行うべきである

④統合医療による反応(効果)は
(ひとそれぞれによって)異なる可能性がある。
患者は効果や副作用について
医師と話し合うべきである。

【私が感じたこと】

日本では
どのような治療を行うかは
ほとんどの場合、医師によって決められており

患者さんから意見を言うことが
ほとんどないかと思います

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それに対して、アメリカでは

ガイドラインの運用について
①「医師と患者で決めるべき」
③医療従事者間で情報交換を緊密に行うべき
④「患者は、、、医師と話し合うべきである」

とあるように

あくまで患者さんと医師などの医療関係者が
対等の立場で話し合い
患者さん側にも医療の選択権がある

立場の違う医療従事者
(医師、看護婦、運動療法士、鍼灸師など)
がチームとなって治療を行う

といった点が
大きく異なると感じました。

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ただ、アメリカのように
医師や医療関係者とどのような治療を行うかを相談するには
患者さん自身が治療方法などに対して
積極的に情報を集める必要があります

以前に比べるとインターネットの普及や
患者さん向けの書籍、健康番組などが増えていて
情報を集めやすくなっていますが
まだまだチーム医療の普及には
時間がかかるのではないでしょうか

それでは、引き続き【海外のがん治療2】をご覧ください。