海外のがん治療はどうなっているのか?②

統合腫瘍協会国際会議の報告レポート(後半)

【アメリカにおける統合医療の実施状況】

統合腫瘍協会国際会議(SIO)では
それぞれの施設でどのように統合医療を取り入れているか
といった発表がありました。

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今回は
がん統合医療の先進国アメリカで
実際にどのような治療が行われているか

シカゴにあるブロックセンター(Block Center)
の取り組みをメインに紹介します。

【ブロックセンター(Block Center)】シカゴ

外来化学療法に併せて統合医療を行っています

統合医療の目的
個々のライフスタイル、がんのコントロール
症状のマネジメントなどのコンサルティング

この施設ではクロノセラピー(Chronotherapy)
を行って非常に高い効果を上げているとそうです。

クロノセラピーとは?
夜時間をかけて抗がん剤を投与する治療法

抗がん剤は、がん細胞のDNAと結合し
細胞分裂を阻害して効果を発揮しますが
同時に正常な細胞も壊してしまい強い副作用を起こす。

正常細胞の分裂・増殖は、昼間に活発で、夜は低下します
一方、がん細胞は夕方から夜寝ているときに盛んになります

この特性を利用したのがクロノテラピーです。

夜間に抗がん剤を投与すると
正常細胞は休んでいるため、影響が受けにくい=副作用がすくない
一方、活動が活発ながん細胞は
抗がん剤を取り込みやすくなり高い効果が得られると考えられます。

クロノセラピーの目的

抗がん剤の副作用軽減 目標 副作用を50%以下
治療効果、結果の改善
初回の抗がん剤治療の再チャレンジ(副作用で中断した場合)

実際にクロノセラピーを行った
大腸がん患者さん(肝臓にも転移あり)の症例が挙げられました。

抗がん剤治療による激しい嘔吐による治療中止
↓Block Center に転院 クロノセラピー導入
副作用(重度の嘔吐)が減り
抗がん剤治療をしっかりと行うことができ
がんが消滅。(治療効果が高まった可能性があります)
14年経った現在でも元気とのことです。

その他、
1)栄養学的ケア、2)身体的ケア、3)心理的ケア
も積極的に取り入れています。

1)栄養学的ケア

栄養学的コンサルティング
栄養学に基づいた料理教室
個々の状況に応じたサプリの推奨

抗がん剤治療中のがん患者に対して
副作用を減らし、治療効果を上げるための
栄養学的コンサルティングを行います。

2)身体的ケア

理学療法士や、マッサージ師(資格あり)
気功の先生が行います

理学療法士:エクササイズのコンサルティング
(具体的にはウォーキングエクササイズが紹介されていました)

抗がん剤治療患者さんに対して
マッサージ、ヨガ、気功、リフレクソロジー
レーザー治療、痛みに対する電気刺激などを行います。

3)心理的ケア

医師(ソーシャル サービスの専門)
ソーシャルワーカー(資格あり)
カウンセラー(資格あり)によって行われます

心理的な落ち着きを取り戻し
前向きな気持ちを持つなど
感情面でのサポートを行います。

こちらも具体的な症例が紹介されました。
大腸がん患者さん(肝臓あり) *さきほどとは違う患者さんです

抗がん剤で重度の下痢と疲労でホスピスへ

↓ ブロックセンター転院

栄養療法、運動療法、心理的サポート
クロノセラピーを開始

最初の抗がん剤治療に再チャレンジ
副作用の軽減により、治療を最後まで行うことができた。

【その他の施設の治療内容】
その他の4施設での実施状況をご紹介します

①ジェームス M コックスセンター
The James M. Cox Centerジョージア州 アセンズ

ガン予防外来、禁煙外来

ハイリスクの肺がん患者
乳がんの遺伝子スクリーニング
に対する早期ケア

チームアプローチ
以下の医療従事者によるチームケアを行っています

運動療法士、栄養士、ソーシャルワーカー
Mind/Bodyコンサルタント、マッサージ
アロマテラピスト、鍼、ヨガ
Healing touch(ヒーリング タッチ)など

②レオナルド P ザキム センター
Leonard P Zakim Center ボストン

鍼、気功、マッサージ、心理的身体的ケア
音楽療法, 栄養、霊気、統合医療コンサル、芸術活動

③ハービン クリニック
Harbin Clinic

3本柱としてエクササイズ、ダイエット、
ストレス軽減を実施

エクササイズ
20-30分の運動を週3-5回、10分間のストレッチを毎日
ヨガ、太極拳、水泳、ウォーキング

ダイエット
タバコと酒を避ける、赤肉を避ける
健康的な体重を維持する

ストレス軽減
毎日10分間のリラックスタイムを取り入れる
深呼吸、ヨガ、マッサージ、楽しいことをする
サポートグループに加わる、日記をつける、良い睡眠

症状の緩和を目的として以下を実施

吐き気:指圧、鍼、ショウガ
痛み:鍼、
睡眠:ヨガ、ハーブ(カモミール、Valerian=セイヨウカノコソウ)
栄養摂取、運動、心理的身体的ケア
疲れ:運動、サプリメント

④アメリカ がん治療センター
Cancer treatment center of America フィラデルフィア

心理的身体的ケア, 栄養療法、がん治療のリハビリ
鍼、サプリメント、カイロプラクティック

【まとめ】

実際に様々な医療機関で
統合医療を積極的に取り入れていることを実感できました。

アメリカというと
がんに対する西洋医学の3大療法
(手術、抗がん剤、放射線)の最先端を行き
科学的に解明されたものしか受け入れない

といった印象を持っていましたが

実際には、鍼などの東洋医学的なもの
瞑想などの伝統医学的なものなどでも
【良い】とされるものは積極的に取り入れていました。

今回、直接海外情報に触れることによって

西洋医学に偏っているのは、むしろ日本で
がん治療に対する取り組みが
海外から大きく異なっていることを痛感しました。

今後も直接、海外情報に触れられるよう
国際学会などにも積極的に参加していこうと思います

次のレポート【海外のがん治療3】では
がん治療において世界的に有名なMDアンダーソン病院についてご紹介いたします。